ねーちゃーん!」

溌剌とした笑顔での元に駆け寄ってきたのは、太陽の光によって金髪をきらきらと輝かせたうずまきナルトだった。彼はミナトとクシナの一人息子で、その顔立ちは両親どちらにも良く似ている。学校帰りなのだろう、ナルトは制服に身を包み、年頃の男の子らしい雑な扱い方で角が傷んだ通学バッグを肩から提げていた。

「ひっさしぶりー、なになに、ねーちゃん今帰りなの?」
「そうなの、今日は早かったんだ〜ナルトも今帰り?」
「おう!」
「・・・あれ、また背伸びた?」

前にが彼を見かけた時(といってもほんの何週間か前だが)は確か目線が一緒かそれよりも下だったのに、今はそれが反対だ。成長期にあることを改めて確認させられる。きっとこれからまだまだ伸びるのだろう。

「へっへ〜ん、俺ってばもう子供じゃないってばよ。そのうちねーちゃんのこと見下ろしちゃうもんね」
「はいはいそんな日が来ると良いですね〜」

そしてナルトももお互いの顔を見てくつくつと笑い合う。まるで本物の姉弟のように並んで歩く姿を、すれ違った老夫婦が優しい眼差しで通り過ぎていった。

「あ、そういえばさ、ねーちゃんってカレシいんの?」
「なに、どしたの」
「いんの?」
「・・・いないけど」
「エー大学生なのに・・・。寂しいってばよ」
「うるさい」

軽く拳を振り上げたから逃げようとナルトの足並みが早くなる。
自然と少年の後姿を見ることになったは、その姿が自身の想い人に似ていたためにふと動きが止まってしまいそうになった。

(・・・先生の子供だもん、そりゃ似てるよ)

数歩先を行くナルトが、頭の後ろで手を組みながら振り返る。

「オレさ、オレさ、好きな子ができたんだってば」
「えーいつのまに!どんな子?」
「え〜言っちゃおうかな〜どーしよっかな〜」
「・・・顔気持ち悪いよ」
「あ、そんな顔すんなよ!へへ、同じクラスのさあ、ピンクの髪のぉ、サクラちゃんって可愛い子!」

ニシシ、と照れくさそうに、けれども得意げに笑う少年は思春期の真っ只中なのだった。












(2015.5.5) 
(2016.3.20修正)              CLOSE