※戦争後のカカシ先生なので本誌700話を読んでない方はご注意を。 |
火影様の命とあれば不肖テンゾウ、一生懸命務めさせて頂きます。 急遽今日だけ火影付きの暗部を頼まれたものの、こんなことになるなら何故あんな台詞を言ってしまったのか。テンゾウは火影の執務室の前で盛大にため息を付いた。 目前の窓からガラス越しに外の世界を眺めれば、正午を過ぎたばかりの白っぽい太陽がさんさんと光を降り注いでいる。こんな日は木陰で読書でもしたいところだ、とテンゾウは一昨日買ったばかりの建築書のことを脳裏に思い描き、意識を執務室から必死に遠ざけることに集中させる。この時分なのが幸いだろうか。午前中に任務に当たる忍を送り出し、昼時を過ぎたこの頃は一日の中でも人の出入りが少ない。だからといってこの扉一枚隔てた向こう側であんなことが起きるなんて、誰が予想できただろうか。いや、できるはずがない。 「はあ」 いくら人がいないとはいえ、用心深い性格のテンゾウは、廊下の入り口に人避けのための結界を張らずにはいられなかった。 それからかれこれ三十分。目論見どおり結界に誰かが触れた気配は無く、ほっとする反面テンゾウはただ一人ぽつりと立ち尽くしたまま室内の音を聞くまいと必死になっていた、のだが。 「なあヤマト隊長、なんだってばよあの結界」 突然横から声がするものだから、室内に気を取られていたテンゾウは酷く驚き肩をビクリと縮こませた。 「ナ、ナルト!どうやって入ってきたんだ?」 「俺ってばカカシ先生に用があったもんだから、えーとなんだ、仙術で?破っちまったってばよ」 やって来たのは両手一杯に巻物を抱えたナルトだった。聞けば珍しく彼は内勤だったらしい。カカシに頼まれた巻物を探しに朝から書庫に籠りっ放しだったそうだ。 日の光に照らされキラキラと輝きを増す金髪とは反対に、まるで曇天に包まれたかのようなテンゾウが再度ため息を付く。ナルトはけろっとした顔で仙術を使ったようだが、一体何のために結界が張られていたのか少しは考えたのだろうか、と。緊急事態ならばこの建物全体が騒々しいだろうし、それこそ得意の仙人モードで先に確認できるだろうに。これだから汚れを知らない純真な子供は、と心の中で悪態を吐いたのは誰にも秘密だ。 「いいかい?結界ってのは破るためにあるんじゃない」 「まーまー、で?カカシ先生何してんの?」 早く巻物を渡したいと今にもドアを開けようとするナルトを、テンゾウが烈火の如き素早さで食い止める。ギチギチと油の足り無そうな動きで少年を睨みつけた彼の顔は、恐怖による支配も嫌いじゃないと言ったあの時の顔そのものだ。その凄みにナルトは思わず顔を引きつらせながら一歩後ずさった。 「開けたら僕の失態になるんだ、わかるよねナルト?」 反論許さず。米神から汗を垂らしたナルトがこくこくと頷く。 するとテンゾウは平生の表情を取り戻し、今度は中の状況を一体どう目の前の少年(といってももう立派な大人なのだが)に伝えようか悩んだのだった。なにせこの場に誰か来るなど考えてもいなかったのだから。 「先輩は、その、うん、まあ、そうだね」 コホン、とテンゾウは形ばかりの咳払いをした。 「は?」 「そうだね、と、うん・・・と」 「ねーちゃん?と?なんだってばよ」 首を傾げてナルトはテンゾウを見た。心持ち頬が赤いだろうか。 直接的にも間接的にも上手く伝えられなかったテンゾウは諦めたのか、小声でナルトに聞き耳を立てれば分かると言い放つ。 そして言われたとおりナルトがドアにそっと耳を近づければ―・・・。 熱と湿り気を帯びた吐息が執務室に響く。 何が恥ずかしくてこんなところで、こんなことを。は一体どうして今に至るのかを必死で思い返そうとするも、性の魔に浮かされ朦朧とし出す意識に憚られてしまった。 机に突っ伏したまま後ろから小刻みに与えられる刺激にただ耐えることしかできない。何か支えになるものを掴みたくとも、面が滑らかなそこには残念ながら何も無かった。それでも無意識的に何かを掴もうとしているのだろう、机を引っかくだけの爪の音が時折鳴っていた。 「・・・ッ、ふ、・・・くっ」 漏れそうになる嬌声をは必死に堪えようとする。何せここは火影の執務室と言えど公共の場で、扉の向こうには知り合いであるテンゾウが立っているのだ。知り合いじゃなければ良いという問題では決して無いが、扉の奥に立つ人物が顔馴染みであることを思うと羞恥心が爆発しそうだ。だからこそぐっと息を詰めるのだが、その度に自身を懐柔する怒張をより生々しく感じてしまい、余計声が漏れそうになる。とんだ悪循環だった。 「、もっと声聞かせて」 それなのにこの状況を招いた張本人は、彼女の悩みを一蹴するかのように声を出させようと躍起になっている。カカシとてが考えていることが分からぬ訳ではなかったが、情欲の方がそれに勝っている今現在となっては声が漏れようとお構いなしらしい。少々職務怠慢かもしれない。しかしなにも恋人ではない相手を連れ込んでる訳ではないのだ。それに今日の付き人が口の堅いテンゾウでなかったらきっと理性の方が勝っていただろう。それだけ有能な後輩に心を許しているのだと今度伝えてやれば、きっと彼は言い返せないどころか喜ぶに違いない。いやさすがにそれはないか。随分とお楽しみでしたね、の小言ぐらいくらうか。ま、いいか。殴られはしないだろうから。それより今は彼女に声をどうやって出させるか、だ。普段の物腰穏やかな表情からは想像もつかないほどにカカシはいわゆる「悪い大人」の顔をしていたのだった。 「大丈夫、誰もいない」 「テ、テンゾウがいたも・・・っ」 「いないに等しいって」 小言を返させないようにカカシはの口内に己の指を突っ込んだ。生温かいその中で卑猥な水音と共に彼女の舌を弄る。するとその動きに抵抗しようとが舌をくねらせるが侵入者に打ち勝つことなどできるはずもなく。したらば開いてしまったために今まで必死に我慢していた声が次々と漏れ出し、しまいには唾液がカカシの指を伝って机を汚してしまうまでになってしまった。 その姿にカカシは満たされていくも、それでもまだ残る彼女のなけなしの理性が、外の様子を窺おうと時たま視線をずらすものだから、集中しろと言わんばかりに一際強く腰を打ち付ける。 「ひやぁんっあっあ、あぁッ、あっ」 「外に誰かいるかもって思うと、余計感じちゃう?」 「そん、あ、ぅ、やあッ言ってるこ、と、さっきとちが・・・っ」 「はは、今凄い締まったよ?」 「・・・んッ」 普段のトーンより低い音で耳元で囁かれれば、否が応でも感じてしまう。ぞくりと快感が腰から這い上がって来るのを感じたが膣内に埋まるそれを無意識に締め付ければ、その思わぬキツさにカカシは息を洩らした。 カカシにとって後ろから突き上げるこの体位は彼女の顔が見えない分、一体どんな顔をしているんだろうと想像する楽しみがあった。同時に顔が見えないことで彼女がより本能的に喘ぐことも、腰を揺らすことも分かっていたからその楽しさもひとしおだ。 とはいえやはり汗やら涙やら恥ずかしさやらでくしゃくしゃになった彼女の顔を真正面から見ていたい。の口内から己の指を引き抜くと、カカシは繋がったまま彼女を引っくり返し、その身体をそのまま机に乗せ上げる。 「あっうそっ、やっカカッ」 大分押し付けてしまったのだろうか、ぷるんと露になったの胸は机に押し付けられたところがやや赤くなっている。腰を打つ振動で揺れる乳房に眼を奪われれば、ツンと勃ち上がった乳首がまるでカカシを誘うように主張していた。男はゆらゆら揺れるものに弱いとよく言ったものだが、確かにその通りだとカカシは思った。 そうして吸い込まれるように片方の乳首を口に含み舌先でちろちろと転がすと、がびくびくと身体を震わせるのだから面白い。 「ふ、ぁ、あッ、やん、あっ、はぁ」 もう片方を弄るカカシの腕を押し返そうとは手を乗せるも、与えられる快感の方が強すぎて中々力が入らない。わざと卑猥な音を立てられ乳首を舐められたり、押しつぶされたり、抉るように攻められたりされれば。 外に誰がいるだとか、声が漏れてしまうとかいう悩みの種が、最早くだらないとさえ思ってしまえる程にぐずぐずに煮解けた彼女の脳内は、もう悦楽の一つ一つを素直に追っていくことしかできなかった。強張っていた表情がゆっくり緩んだのを視界に捉えたカカシは、良い傾向だと眼を細めると一旦全ての動きを止めに口付けた。「んう」と漏れる声にはもうこの先を今か今かと待ちわびている色が含まれている。唇を離せばとろんとした瞳とかち合った。そしてもう一度口付けようとすると、それを阻むかのように彼女のすらりとした指先が伸びてきたものだから、カカシの視線はついその指先を追ってしまう。ゆっくりと伸ばされたそれは彼の頬をすりすりとさすり始めた。行為のせいで汗ばんだためか、いつもよりしっとりと肌と肌が密着し合う。 まるで子供を愛でるかのような慈しみに満ちた触られ方に、カカシは胸がじんと疼くのを感じた。 「?」 問いかけた唇にも今度は指が伸びてきて、その表面を何度も何度も往復する。確かめられているかのように。 そうこうしているうちに人差し指が上唇と下唇の間をむんずと開けようとするので、促されるままに開けば先ほどとは反対に彼女の指の腹がカカシの舌に触れたのだった。 一体何を考えていることやら、とカカシは思いながらもその指先を軽く甘噛みするとはくすぐったそうに眼を細くした。 「かか、し」 「ん?・・・わっ」 結局今の行為が何を意味していたのかカカシには分からぬまま、両手に包まれた顔がぐいと引かれるとそっと唇が重ねられた。 の柔らかな唇がカカシの半開きの唇を優しく食む。唇から漏れる吐息の熱さがカカシの思考を溶かす頃には、慎ましやかだが淫猥な音がし出している。彼女の誘いに応えるようにカカシからも彼女の口内を貪れば、息を乱し、頬を火照らせ、執拗に舌を絡ませ合い、ただ一心に両者ともに口付けに没頭するのだった。 「ん・・・っ」 の声が漏れるのを阻むようにカカシは口付け、ゆさりと腰を揺するのを再開する。快感が全身に伝わっていく様をは心地良さそうに享受した。 「は、ぁ」 名残惜しげに唇が離れていったあと、熱に浮かされた瞳がじっと眼前の銀髪を捉える。 酷く扇情的だと、その瞳からカカシは眼が離せなかった。 「カカシ、すき」 「・・・も、お前ね」 煽りすぎだと。もう三十過ぎのおっさんなのに、と。 いい加減性欲だって落ち着いてきてる筈なのに、どうしたことだろう今日はいつになく収まらない。このところ仕事が上手く片付かなかったからだろうか。それとも任務帰りの彼女が軽症だが怪我を負っていたからだろうか。 (ま、理由なんて何だっていいけどさ) とにかく今は彼女に溺れたいのだ、と。 「、そのまま捕まってて」 「えっ、あ!」 カカシはの腰を支えながらその身体を持ち上げると、自身の背後にある椅子に、彼女になるべく衝撃を与えないようゆっくりと腰を降ろした。何が起こったのか一瞬理解できなかった彼女は、ただ落とされないように目の前の男にしがみ付くしかなく、端から見れば滑稽な姿なだけに恥ずかしさに拍車がかかる。ぎゅっと眼を瞑って動きが止むのを待っていると、鼻先に一つ、キスが落とされた。 「え・・・」 そうしてゆっくりと眼を開けば、今まで見下ろされてばかりいた世界が一転していた。自分よりも目線が下にあるカカシの姿はなんとも新鮮味に溢れている。 対面座位の―、椅子に座るカカシの上に乗っかっているために、背後の安定感に欠けて背中がそわそわしまう。肘あてが無いとはいえ火影用に設えられた椅子には十分な幅があり、足が着くのには丁度良いが、どうしてもカカシを支えにしないことには不安定で仕方が無かった。そしてこの密着感。接地面の増す格好に、羞恥心が止まるところを知らずに上っていくのをはひしひしと感じないではいられない。 「・・・恥ずかしい」 「たまには良いんじゃない?ほら」 「ッひゃうぅ、あっちょっ、と、んぅっ」 ぐんぐんと下から突き上げられ、彼女も身体を支える足に自然と力が入る。自重で普段よりも深く感じられる接合部から、考えられないぐらいにいやらしい音が鳴り響き、思わず耳を塞ぎたくなったはたまらずカカシの首に縋り寄った。音を聞かないための逃げ道だったはずなのに、角度の変化が思いのほか彼女の良い所に当たってしまったらしい。一瞬時が止まってしまったかのようにその快感だけが全身を支配した。脳内だけじゃなく心臓すら溶かしてしまうかのような。びくん、と体を震わせた彼女はカカシの耳元で最早言葉にならない声をあげるしかできない。 「や、ぁ、あっあぁっはう、あっあ」 「・・・ッ、ここ好き?」 「あぁぁんっあ、ぁ、ふ、っあぁっ」 カカシとて好きな女の艶声が鼓膜付近でするのだ。彼女からしてみれば無意識なのだろうが、そんなことをされて冷静でいられるわけが無い。ドクドクと血液が股間に集中し、自身の怒張がより一層膨れ上がるのが分かった。達しそうになるのを堪え、喘ぐのに夢中になり無防備になっている彼女の脇腹に指を這わせて快感をやりすごそうとすれば、まさか撫でられると思っていなかったの身体がまたびくりと震えたのだった。 「ふぁ、あ、んっ、ぁ」 今ので膣内に埋まる陰茎の角度が若干変わってしまったらしい。彼女の一番感じる部分からそれてしまったようでもどかしそうな瞳がカカシを捉える。 彼が与えてくれる律動は十分に彼女を刺激していた。だが、最もダイレクトに刺激されていた性感帯が物足りなさを感じたのか、彼女は突き上げられながらもそこを探すためにもぞもぞと腰を動かし始めたのだ。その動きはカカシにも十分伝わっていて、折角絶頂への意識を散らそうとしていたにも関らず、目の前で本能のままに腰をくねらされてしまうものだから全くもって無意味になってしまった。 「んっぁ、カカシ、はぅ、さっき、の、あっ、あ、」 「え?なに?」 「も、ぁ、だか、っら、っさっきの、と、っこ」 「んー?」 分かっててはぐらかす恋人に痺れを切らしたのか、は涙ぐんだ瞳で憎たらしげに眼下の男を睨みつけた。そしてお仕置きと言わんばかりに、耳たぶにかぷりと噛み付き、唾液を纏った舌先で彼の耳の中を吐息と共に犯していく。湿り気を帯びた熱い息も、卑猥な水音も、ふっくらと柔らかいその唇も。全てがカカシの脳内に響き渡り、背中をぞくぞくとさせた。 (たまんないね) そう、カカシは彼女のこの姿が見たかったのだ。羞恥に襲われ切なそうな表情を浮かべながらも、目の前の快楽のみを求めて段々と本能的になっていくこの姿が。 「ごめんごめん、ほら、ここ?」 「ひぁ、あっ、ああっぁ、ん、あ」 「は、きもち・・・ッ」 「もっ、と、んんっあっかかっ」 呼ぼうとした名前が呑み込まれていく。彼女の好きなところを突けば、根元まで咥え込んだそこがギチギチと締め付けてくるのだからたまらない。カカシは愛おしそうに笑みを浮かべての腰をぎゅっと抱き寄せ肌に密着させた。隙間などできないぐらいにぎゅっと固く。 頑丈な造りとはいえ、大人二人が好き勝手動いているからか、椅子からギシギシと鈍い悲鳴が沸き起こった。壊れたら新しいの支給してくれるんだろうか、と。その時は何故壊れたかという理由も書かねばならないのだろうか、と馬鹿な考えを思い浮かべながら、カカシは行為に没頭しかぶりを振る恋人の姿をしっかりと脳裏に焼きつけ、こちらもそろそろ限界とばかりに果てへ向かって激しく動き出した。 「かか、しっも、ぁっああっだっめぇ」 「ん、いいよ、イって」 高みを迎えそうになったが思わずカカシの頭を震える腕で抱え込んだので、カカシはずっと目線の先で揺れていた乳房にぼふんと顔を埋める形になってしまった。 男には絶対に無いふくふくとした柔らかな膨らみが律動に合わせて揺れる感触を頬に伝えてきて、それは形容し難い心地良さであった。太陽の下に干されたふかふかの布団のような、はたまた焼成前のパン生地のような。本当に何とも言い表しがたい柔らかさだ。 「はぅ、あ、ら、めっ、いっちゃ、あっやっあ、ぁっああぁッ」 「・・・は、・・・ッく、ッ」 その新たな感覚すら絶頂前の身体は快楽へと変換させていく。果てを迎えた彼女の中が今日一番にぎゅっと締まり、甘美な刺激にカカシも一足遅れて自身の欲望を吐き出していった。 二、三回に分かれて白濁が放たれるその度にはぴくりと足を震わせ、悶えるように息を詰まらせた。ぐったりと脱力しきった彼女の身体をカカシはしっかりと支えながら、疲労の色が見える彼女の顔を覗き込めば。 「サイコー、」 「ふえ・・・」 汗で張り付く彼女の前髪を指先でそっと整え、瞼にキスを落とす。濡れた睫毛は少ししょっぱかった。 「立てる?」 「ちょっと、無理・・・」 「じゃも少しこのままだな」 「んー・・・」 息が抜けるのに任せてしたような返事にカカシがくすくすと笑うと、もつられて笑みを浮かべた。 こつんと鼻先をカカシのそれにぶつければ、啄ばむようなキスが始まるのに時間はかからなかった。 * (こっ、こっ、これやばくねえ?なあ、これやばくねえ?ヤマトタイチョー!) (ああ、ほんとにね) (ねーちゃん、感度良いんだ・・・) (ああ、ほんとにね) (ねーちゃん、締まりが良いんだ・・・) (ああ、ほんとにね) (声可愛すぎだってーの!) (ああ、ほんとにね) (・・・うおおおおおおおおこれやばくねえ??ちょ、ちょっとマジ俺ってばトイレ!!!!) (・・・ああ、ほんとにねっ) (2014.11.30) (2017.5.20) CLOSE |