夕飯の買出しに行って来ると家出て行ったを見送った後、午後の温かな陽射しが入り込む窓辺に座って俺は言わずもがなの愛読書、イチャイチャパラダイスを読んでいた。
つい先日教え子たちに、「こんな昼間っからエロ本読んでんじゃねーってばよ」とか、「先生のことは好きだけど乙女の前でいかがわしい本読むのだけはマジで軽蔑です」なんて言われたり、サスケにいたっては汚いものを見るかのような冷徹な目つきで睨まれたりもしたけれど、そんな程度で諦めれるほどこのシリーズは安っぽいものではないのだ。読めば読むほど新たな発見、読めば読むほど深まる情景。ま、大人じゃなきゃ解からないものを子供たちに理解してもらおうなんてハナから思っちゃいないさ。
とまあどうやら俺は読書中に寝てしまったらしい。ドアの鍵が開く音がして、はたと目が覚めたのだが、が部屋に入ってくるなりどうしたことだろう、少し耳が赤くなっている気がしたのでなにかかあったのかと聞いてみたところ。

「し、下着屋さんにも寄ったんだけど、店員さんの押しに負けちゃって」

顔を赤らめ俯きながらはもじもじとしだし、どこか落ち着きが無いようだった。買ってきただけでそんなに恥ずかしくなるものだろうか。もしかして。もしかしたら。彼女は今現在買ったばかりのそれを身に着けているのではないか。ありえる。下着屋の店員侮る無かれ、恋人がいると解かれば唆すぐらい他愛もないことだ。
そんな下心の沸き立つような考えが頭に浮かんだと同時に、なんということだろう、は俺のところに寄ってきて触れるだけのキスをするではないか。
昨日の夜も中々に熱い展開で、そのままの流れで今日は口布をしていなかったためにキスしやすかったことだろう。彼女はまだほんのりと外の匂いを纏っていて、気恥ずかしさからか唇はしっとりしていた。

「なーに、どうしちゃったのお前」
「・・・ちょっとエッチなのだったから、そういう気分に、なっちゃったの」

唇を噛み締めては上目遣いで俺を見た。やめてよ、その技すごいクるんだから。

「カカシ、しよ?」

すでに熱っぽい瞳だとか、湿った息だとか、積極的に絡んでくる腕だとか。そういう性を感じさせる数々が非常にいやらしくて。正直凄く可愛かった。普段は俺が了承を得てことに及ぶのが多いからこそ彼女のこんな姿は非常に新鮮だし、たまらない。
全く、俺の予想の斜め上を行ってくれるよ本当に。とはいえ浮かれる心を必死に押さえて、あくまで流れはこちらが持っている体でいなければならない。ここはちゃんがどこまでしてくれるのか観察といきますか。

「昨日もあれだけしたのに足りなかった?」

不敵に笑ってみせれば、頬を膨らましたがお仕置きよ、と言わんばかりに唇に吸い付いてきた。まだ日も落ちきってないのにふしだらな行為に耽るというこの背徳感、極上だ。恥じらいを持ちつつも本能に勝てない彼女が快楽へと落ちていくさま。ここは天国なのかな。
首元まで閉めたシャツにカーディガンという一見硬派な衣服の下に、身に着けただけでもそういう気分になってしまう下着が隠れてるのかと思うと頭がくらくらした。一体どんなご褒美なんだろう。今すぐに脱がしたい。脱がして拝みたい。しかしが自分で脱ぐ姿っていうのもいけないものを見ている気がして興奮する。
すると彼女は、脱いでよ、と言おうとした俺の心を読み取ったかのように膝立ちになるとカーディガンを脱ぎ、さらにプチプチとシャツのボタンも外し始めたのだった。

「・・・カカシ」

焦らすように体をくねらせるのに合わせて、シャツがはらりと落ちていく。下着が現れるまではまるでスローモーションのようだった。
彼女が実はスパイで敵国の忍だったら?ありえなくない。情報を得るためにこうして長年付き添い、ここぞというチャンスで色香を放っているのだとしたら?の織り成す仕草の一つ一つが幻術だったとしたら?もしそうだとしたら今刺されたら間違いなく俺は死ぬな。でも正直それでも良いかと思えるぐらいだから本当に男って滑稽なもんだ。

「えっろ」

露になった下着姿はまさにそういう楽しみのためのものです、と言わんばかりのものだった。
花柄があしらわれたレースのスケスケの赤いベビードールの下には、これまたスケスケの同じ色のブラとショーツ。ああ、ちゃん、乳首も割れ目も透けて見えちゃってるよ。特にショーツなんか紐タイプだし、ティーバックだし、面積少ないし、腰周りにフリルなんて付けちゃってさ。下着としての役割りなんてまるで皆無じゃないの。目を引く鮮やかな赤と対照的な肌の太腿もたまらない。柔らかそうで枕にしたらばなんと気持ちの良いことか。だめだ、最近思考が確実にオッサンになっている。強ち自来也さまを冷たい目で見れないぞ、これは。

「こんなエロいの買っちゃうなんて、そんなに俺とエッチしたかった?」
「ん、だから、押しに負けたの」

一体どんな顔して、どんな思いでこの下着買ったんだろうねえ。

「そんなこと言って、ちょっと想像したんじゃないの?濡れてるよ、ここ」
「やぁんっ」

生地の色が若干違うそこを指先でなぞってやれば、彼女は咄嗟に腰を引く。上ずった声が部屋に響いた。

「はは、俺にこうされることとか、想像したんでしょ」
「・・・っしないわけ、ないでしょ、だってこんな下着」
「ん、素直でよろしい」

視覚と聴覚を刺激する全ての物事が体内の血を騒ぎ立て股間へと集中していく。ここからどう持っていくのか。余裕なんてさらさら無いが、やはり今回はに全て任せてみよう。
そう心に決めいかにも余裕のある大人の笑みで、彼女の進行を見守る。キスはもちろん舌先を尖らせて首筋や耳の中をを辿られるそれらの行為が、いつもに比べて凄く上手い。彼女は的確に俺が気持ち良いと感じる箇所を攻めながら段々と舌をさげていく。ねえもしかして実は上手いってこと隠してた?
心地よい快楽がゆっくりと体の中を満たしていく。眼前の痴態を見やれば、白く華奢な手がベルトに伸びていて、カチャリ、と金属の音が鳴った。

「ねえ、カカシだってもうこんなに硬くなってるじゃない」

先程の不敵な笑みは今度は彼女に取って代わられた。ふふ、と笑い、ファスナーを降ろすのかと思いきや、は掌で俺の陰部を摩りはじめている。じれったい快感が腰を襲った。

「そりゃあ、こんなえろい子が目の前にいるからね」

上目遣いで笑みだけ返すとは歯でスライダーを噛み、じりじりと前を寛げる。おいおい、一体どこでそんなの覚えてきたの。
そして今度は下着の上から陰部を一撫ですると、かぷ、と硬く主張するペニスにかぶりついたのだった。

「・・・ッ」

布越しにくねくねとした舌が当たり、吐かれる息を生地が吸い温かさを孕む。陰茎に伝わるその熱がたまらなく気持ち良くて、いよいよ本格的に息子が起き始めた。昨日もあれだけしたのに体は素直なもんだ。俺の腰が揺れたのをは見逃さず、この反応に気分を良くして音を立てながらさらに刺激を加えてくる。視界には高く上げられた彼女の尻が揺れるのがちらちらと入ってくるものだから、興奮はとどまるところを知らなかった。

「直接舐めて欲しい?」

舐めるのをやめ手で愛撫しながらは俺の顔を覗き込んだ。首をかしげて可愛い顔をしながら下は卑猥な行為というこのギャップ。正直早く下着から取り出して直接舐めて欲しかった。俺が下でも主導権は譲らないと思っていたが、我慢汁で下着も少し濡れて気持ち悪いし、それに何よりこんなにエロい彼女にリードされるならもう何でもいいかも。

「お願いしてくれたら舐めてあげる」

が自分の唾液で濡れた箇所とは別の、つまりは俺自身の体液で濡れた箇所を指先でつんつんと刺激してくるので、敏感になったそこへの刺激で最後の砦は完全に崩されたようだった。

「・・・、舐めて」
「カカシ、えっちな顔してるよ」

舌なめずりをして待ってましたと言わんばかりにが俺の下着を下げると、情欲に中てられたペニスがぶるんと飛び出した。
エッチな顔してるのはどっちなんだか。ま、大歓迎だけど。
の赤い舌先に集まった唾液が糸をひいてペニスの先端に流れ落ちた。その雫がカリから床に落ちそうになる寸での所で舐め取られ、そしてそのまま口の中に含まれる。ようやく与えられた直接の刺激はここ最近で一番気持ちが良かった。生暖かい口内に思わず首が仰け反る。徐々に高ぶった俺の息子はもう完勃ちだった。じわりと染み出る我慢汁を彼女の舌先が掬い取るだけではなく、そこからさらに尿道を抉るように攻めてくるのだ。されるがままでいれば良いものを、ここまで来て何を思ったのだろう余計なプライドが、余裕も無いくせに腰を動かしペニスをさらに彼女の喉元へと押しやってしまう。したらば彼女もそれに答えるように喉の奥を波打たせたかと思えば手で先端を支え、竿を横に舌が這って根元を卑猥な水音で吸われる。

「ね、膝立てて」
「こう?」

ぺちぺちと左足を叩かれ、言われるがままに足を立てるとは更に股間に顔を突っ込んだ。
ああ、まさか。ちゃん。そこは。そこは。蟻の門渡り・・・!!
まったくこの子ときたら、次から次へと攻めのバリエーションが絶えないな。ほんとそんなのどこで覚えてきちゃうのよ。

「は、ァ・・・ッ」

巧みな舌技に思わず声が漏れてしまう。の喘ぐ声ならいつまでも聴いていたいが、正直男の上ずった声など全くいらない。
だがちろちろと行き交う舌先に翻弄されっぱなし焦らされっぱなしの息子はそろそろ限界を迎えようとしていた。

、もう、」
「ん、いいよ、出して」

そういうとは根元への刺激をやめ、亀頭にしゃぶりついた。唾液の溜まった口内に食まれていき、ただひたすらにカリをねぶられる。痺れるような快楽が体を支配し、声こそ洩らさないものの荒く湿った息が次々に吐かれ、与えられる全ての刺激を吸収し、欲望の塊がもう喉元まで込みあがってきていた。
口を窄められ勢いよく吸われれば。頭の中はもう真っ白だった。
ああ、も、駄目だ。イく。イ・・・・!!



*



「・・・・・・え?」

なんだ?なにが起きたんだ?え?俺もうイきそうだったよね?あれ?は?やらしい下着姿のは?気持ち良いどころか痛いんだけど、どういうこと?え?俺窓辺で本読んでなかったっけ?なにこれ、ソファから落ちたの?

「・・・嘘でしょ」

頬を一つまみ。痛い。ということは。ということは。
どうやらソファから落ちている。悲しきかな、これこそが現実だ。
ああ、夢だったのか。あんなにもえろい下着と官能に包まれたは、夢の中の住人だったのか。

「結構リアルだったな・・・」

落ちた衝撃で打った腰を摩りながら立ち上がれば、さらに悲しきかな、部屋の中でひとりぼっち。ああ、本当にこれこそが現実だ。そのまま視線を股間に落とせば、そこだけはしっかりと夢のままの状態を保持していて。ああ、これがまさにうんたらかんたら。
昨日とセックスしただけあって流石に夢精などという恥ずかしい結果には至らなかったが、この状態もなんだか凄く虚しくて仕方がない。
一体どこからが夢だったのだろうか。が買い物に行ったのは間違いない筈だ。なにしろ昼食を取ったあとに飲んだコーヒーの入っていたマグカップはテーブルに二つ置いてある。ああ、そう言えばその後ソファに座ったような気がしなくもない。じゃあ窓辺から本を読んでいた辺りからが夢だったのか。

「はあ」

それはそれはとても大きなため息を一つ吐き、が帰ってくる前に完勃ちの息子をどうにかするべく俺はトイレへと向かった。
もちろんオカズは夢の中の彼女で。















「まあどんな夢見ようとカカシの勝手だけど」
「いやーでも俺としては白かな」
「なによその目、買わないからね」
「あー・・・えろかったな〜夢の中の
「ばかかし」







(2014.7.7)               CLOSE